第62話

すぐ様振り返ると竜がボールを籠に戻していた。


またとられた。



「これ、片付けろ」


近くにいたメンバーに告げると私の首根っこを掴みスタスタと歩いてゆく。


メンバーはボールの籠を持ち上げどこかに行こうとしていた。



『あーー! 』


腕を伸ばして叫ぶ私に籠を持っているメンバーは歩みを止め、こちらに顔を向けた。


眉を下げ、完全に困惑してる。


困惑する素振りなんて一切ないのに、


それに目もくれずスタスタと歩み進める竜。


戻すな。そこに置け!とジェスチャーを交えながら言う私を見てキョロキョロと戸惑うメンバーに大我が顎で促した。


おまえも竜の味方かよ。


キッと睨む。


メンバーは怯むけど睨みを向けた本人の大我は涼しい顔をしていた。


当然、引きずられている奴の睨みは効かない。


この状態じゃ全く威厳とか感じないよね。

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