第86話

「へぇ…そう」


やっぱりな。と頭の中で理解するも素っ気なく返す。


「何とも思ってないんですか?

それか、余裕とか?」


「そんなんじゃないけど…」


ずっと紬と同じように片思いしていて、振られてすぐに紬に告白しようとか、それはあまりにも気が早いというか、そんな安い関係にはなりたくないという思いが千秋にはあるらしい。


「矢田くんは、真っ直ぐで羨ましい」


「は?」


「人間関係を拗らせなさそうで」


「何言ってんの?

俺は柊くんが羨ましいんだけど」


矢田はいつもはしない嫌そうな顔で、悔しいけどって思いながら話を続ける。


「俺がずっと好きだった山本の心をあっさり取ってくし、自分が好きになった相手と上手く行くだろ?」


「そんな訳ないでしょ

俺、そんなに完璧じゃないよ

つい最近振られたばかりだし、ずっと片思いしていた相手に」


「えっ!?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る