第82話

声のする方を見ると、少し気まずそうな顔をしている矢田が立っていた。


「矢田くん、おはよ」


「良かったー」


紬が返事を返すと安心したようで、胸に手を当てて笑顔になる。


「え?どうしたの??」


「昨日急に告白したから気まずくなって避けられるかと」


「しないよ!そんなの」


矢田は紬の隣に立つ。


「昨日この時間に電車乗るって言ってたからもしかしていたら、挨拶しようと思ってた」


「あはは、わざわざいいのに」


「俺が山本に会いたかったから」


「えっ!?ちょっ…ド直球…」


紬はあまりのド直球に顔を赤くする。


「何もしないで振られるのだけは嫌だから

ちゃんと行動しようと思って」


真面目に話す矢田に紬は何て応えたら良いかわからず一瞬黙ってしまう。


「なんで、私なの?矢田くん絶対モテるでしょ

爽やかで優しいし…」

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