第78話
「まぁ、俺が山本を見ていたからってのもあるけど…」
矢田は右頬を掻きながらボソボソと呟くが紬はよく聞き取れなくて耳を近づける。
「えっ?何??」
「何でもないよ」
矢田は顔を赤くして否定する。
地元の駅のホームに着き、改札を抜けて階段を下りると甘くて美味しそうな匂いがした。
「あっ」
匂いの元がわかり、紬は声を出す。
目線の先には久しぶりに見た移動販売の今川焼き屋だった。
「懐かしいー」
矢田も隣に来て美味しそうな匂いの元を見る。
「久しぶりに見た。
中学の時よく塾の帰りに食べてた」
「食べる?」
「食べたい!」
2人で餡子とクリーム1つずつを注文して歩きながら食べる。
「美味しい…」
「昔から変わらないな
この美味しさは」
「うん!」
ふと、紬が隣の矢田を見るといつもスタスタ周りをあんまり気にせず歩いていた矢田が自分の歩幅に合わせて歩いてくれていた事に気づく。
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