第77話

電車の中でも矢田のお喋りは止まらなくて、紬は笑って話を聞いていた。


「でさ、この前も…ごめん」


「え?何で謝るの?」


「ずっと俺が喋ってばかりだから」


「ううん、聞いてて楽しいよ!

私こそあんまり面白い話なくてごめんね」


「全然!寧ろ山本と一緒に帰ってる事が嬉しいから」


「あ、ありがとう」


サラりと嬉しいことを言う矢田に紬は照れて顔が上手く見れない。


「ずっと山本と帰ってた莉多が羨ましいなって思ってたからさ」


「そんな事ないよ」


「莉多元気?」


「うん、元気だよ!

私の親友と付き合ってる」


紬の言葉を聞いた矢田は、驚いた顔をする。


「え?」


「なに?その顔…」


「いや、山本はてっきり莉多を好きだと思ってたから」


紬は苦笑いをする。


「私、そんなにわかりやすかった?」

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