第76話

「柊千秋くん…

あ!先月号のメンズファッション雑誌に載ってましたよね!?」


「あぁ、はい」


「モデルやっているんですか!?カッコイイー」


興奮している矢田の声は益々大きくなる。


「あの、そろそろ…」


帰ろうと切り出そうとした千秋の携帯が鳴り、相手は母親で2人から少し離れて電話をとる。


「あー…うん、わかった」


電話を切ると千秋は紬と矢田の元へげんなりした顔で戻ってきた。


「柊くん、電話大丈夫?」


「母親からで、モデルの代役頼まれた


ごめん、今日一緒に帰れない」


「全然!気にしないでよ!


モデルのお仕事頑張ってね」


「うん、ありがと」


千秋はその場から走ってタクシーを拾って向かう事にした。


「山本、柊くんの代わりには程遠いけど俺と帰ろうよ」


「え?でも、矢田くんお腹すいていたんじゃ」


「家帰ってから食べるし、帰宅ラッシュ時間だから満員電車心配だから送らせて」


矢田の安心する笑顔に紬もつられて笑う。


「じゃあ、お願いします」


「しっかりと送り届けます!」

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