第75話

お店を出てから暫くは無言の2人、沈黙を破ったのは紬だった。


「結華さん、さっき何て言ったの?」


「いや、特に」


「そっか」


そしてまた沈黙になる。


「あの、山本さん今度…」


千秋が言いかけると被せるように大きな声が聞こえた。


「あれ?もしかして山本??」


身長が高くて如何にもスポーツマンですっていう雰囲気がある男の子に紬は声をかけられた。


「矢田くん」


「おぉー!久しぶりー

中学卒業してから全く会ってないもんな」


「そうだね。

矢田くんは部活帰り?」


「そう!そしたら山本に似てる人歩いてるなーって思って声掛けて良かったよ」


「矢田くん、相変わらず声大きいね」


矢田の勢いに慣れているのか紬は笑って話すも、千秋は突然の爽やか男子に少しビックリしていた。


矢田は千秋に気づくと、紬の方を見て


「彼氏?」と聞く。


紬は首を横に振って否定する。


「友達だよ」


「へぇー!めっちゃカッコイイですね


俺、山本と同じ中学だった矢田です!」


ニカッと白い歯まで見える笑い方をする爽やか男子の矢田に少し引くように小さな声で千秋は挨拶をする。


「山本さんの友達の…柊です」

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