第74話

「じゃあ俺ら先に行くわ」


恥ずかしくなったのか千秋が立ち上がり、隣の紬の背中を軽く叩いて合図する。


「あ、うん」


つられて紬も立ち上がる。


「えー 千秋も紬ちゃんも行っちゃうのー?」


結華はブスッと頬を膨らませて2人を見る。


「悪い。兄貴とこのままいたら…恥ずい」


「千秋ー」


また泣きそうな顔をする春都。


「もう泣くなよ。じゃあ後は2人で仲良く」


紬と千秋はソファから離れてテーブルの前に立つ。


「じゃあ、結華さん失礼します。

柊先生また明日授業よろしくお願いいたします」


「うん」


紬は、頭を深く下げて店の外に向かって歩き、まだ泣き止まない春都は、グスグスと鼻水と涙でいっぱいの声を何とか出して返事をする。


「結華、本当に話聞いてくれてありがと」


結華は立ち上がってソファから離れて千秋の背中を思いっきり叩く。


「当たり前でしょ!それと…」


結華は千秋に「紬ちゃんみたいないい子を逃がしちゃダメだからね」と結華は千秋に耳打ちをする。

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