第68話

紬は首を横にブンブンと振って否定する。


「違うの…私が最低だってこと」


「え?山本さんが最低な人間だったら殆どの人類最低でしょ?」


「私っ、振られればいいって思ってしまって…」


それだけで千秋は、何の事を言っているの解り紬に近づいて頭をポンポンと優しく叩く。


「もういいよ、ありがとう山本さん


とりあえずここじゃあ話せないから何処か行こうか」


校門前で話す2人をチラチラと見て来る人達。

気まずさのあまり2人は少し歩いて土手に行き座る。


「確かに俺はずっと、結華の事が好きだった


だけど俺が気持ちに気づいた頃には兄貴と両思いだって知ってたから何も言えなかった」


紬は常に話を真剣に聞いて、頷いていく。


「ずっと気持ちが言えなかったというか、結華より好きになれる人が現れなかっただけ」


「結華さん、本当に綺麗で優しい人だもんね」


「気は強いけどな」


「だけどやっぱり気持ちは伝えた方が良いんじゃないかな?だって、好きだったって言われて嬉しくない人はいないよ」

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