第63話

地元の駅で解散し、1人で家までの道を歩いていたら「紬?」と声を掛けられる。


「莉多…」


買い物袋を持った莉多が紬に駆け寄る。


「どうした?そんな泣きそうな顔して

柊さんと何かあった?」


紬は首を横に振り否定する。


「バカ。何年一緒にいると思ってんだよ

紬の嘘ぐらい見抜けるって

まぁ、最初の嘘は見抜けなかったけど」


「莉多、正直だね」


「うるさい。

そんで、帰りながらかもしくはいつもの公園で話すか?」


「帰りながらでいい」


莉多は紬に歩く速度を合わせるように隣に来てゆっくり歩く。


「今日、柊くんの多分好きな人に会った」


「えっ!?柊さんの好きな人って、紬じゃねーの?」


「傷えぐりたいの?最後まで聞いて…」


「悪い」


冷静にツッコミを入れる紬に少し怖がって謝る莉多。


「柊くんの好きな人は、お兄さんの婚約者さんみたい…」


「えっ!?それは…なんというか」


「柊くんから直接聞いたわけじゃないけど、見ていたらわかった…だって、私が柊くんを好きだから見てたらわかる」

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