第60話

「あれ?千秋ー?」


後ろから千秋は名前で呼ばれたので反射的に振り返る。


振り返ると綺麗な女の人が男の人と腕を組んでいて、千秋に2人とも手を振る。


「…兄貴と結華」


「えっ?お兄さん!?」


兄貴と呼ばれていた男の人は紬に軽く会釈をする。


「もしかして、千秋の彼女ちゃん?」


結華と呼ばれていた女性は紬の両手を握る。


「あの、私は…」


「この子無愛想だけどめちゃくちゃ優しい奴だから!超優良物件だよ!私が保証する」


「あの…はい」


否定も出来ない紬はただ、結華の勢いにのまれて頷くことしか出来なかった。

それと千秋が優しい事はわかってると言いたかった。


「あれ?指輪…お兄さんとお揃いですね」


紬は結華の左手の薬指を見て少しはしゃぐ。


「うん、私と千秋のお兄さん結婚するの」

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