第54話

「可愛いよ」


「えっ!?」


突然言われた可愛いに動揺して、顔を赤くする紬。


「な、なんでそんな事言うの!?」


「本当に思ったから」


「~っ」


学校の最寄り駅に着くまでの時間、終始ドキドキしっぱなしの紬はいつもより千秋と上手く話せなかった。


電車から降りるともう各々学校に行くから離れてしまう。咄嗟に紬は千秋の制服の袖を掴む。


「山本さん?」


「一緒の高校が良かった…」


「……」


ポンッと紬の頭に千秋の手が乗っかる。


「今日は撮影あるから放課後無理だけど、明日の朝と放課後大丈夫だけど、放課後どっか行く?」


「いいの?」


「いいよ、山本さんが行きたい所考えておいて」


紬は何度も頭を上下に振って頷く。

次の約束をした紬は、元気が戻り改めて自分が単純だという事に気づく。

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