第53話

駅のホームの端っこで立っていた2人、千秋は紬の手を引いて電車に乗り込む。


「端っこの方が割と空いてるんだな」


「うん…あの…」


「ん?」


千秋は顔を真っ赤にしながら下を向いている紬を見て首をかしげる。


「どうかした?山本さん」


「手を…その…」


「手?あぁ」


千秋は紬と手を繋いだままの状況に気づき、手を離す。


「遊園地の時も繋いだし、初めてじゃないでしょ?」


「そうだけど…一応、告白したわけで…フラれたのにサラリとかっこいい事とかされるとときめいてしまうといいますか…」


千秋はまじまじと紬を見る。


「俺は普通に今まで通りに接して欲しいんだけど?山本さんに」


「普通とは?」


「んー…いや、ポンポン言い合える仲というか」


「うん…」


全く理解が出来てない紬は生半端な返事をする。


「山本さん」


ちょいちょいと千秋に手招きされて、顔だけ向けて耳元を千秋の口元に近づける。

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