第52話

「うん…ありがとう」


千秋から返ってきた言葉は予想外で、紬が一瞬停止したのはもっとキッパリと無理とか拒否をされると思ったからだ。


「え…」


安心したのか紬の瞳からポロポロと涙が零れる。


「いっ!?山本さん!?どうし…」


「嬉しくて!もっと私も駅で告白していた子達みたいに冷たくされるかと思ってたから」


「いや、山本さんにはそんな事しないよ


だけどその…今山本さんに告白の返事は出来ない、ごめん」


紬は首を横に振る。


「長期戦覚悟してるから!

私、次の恋は0じゃない限り諦めないことにしたから」


グッと力む紬を見て、千秋はぶはっと笑い出す。


「なんで笑ってるの?」


「いや、山本さん強くなったなーって思って…電車ちょうど来たね、乗ろ」

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