第35話
「…いいよ
次は山本さんの行きたいところに行こう」
「えっ?」
千秋のふわっと突然向けられた笑顔、絶対に断られるって思ってたのに…と安心感で紬の上がっていた肩が下がる。
「断られると思った?」
「だって、私と柊くんとの関係は嘘恋で、
柊くんは同情で私の嘘に付き合ってくれているだけなのに…」
千秋は立ち止まって再度下を向く紬の両頬に手を当てて自分の方に向かせる。
「さっきも言ったじゃん
俺、山本さんといると楽しいって
嘘に思える?」
「ううん…」
「山本さんといると楽しいし、毎日が充実してるから。だから気にしないで欲しい」
紬は幸せで溢れそうになる涙をグッと堪えた。
「ごめん…」
「なぜ!?言ったそばから謝る?」
紬は首を横に振る。
-好きになってしまってごめんなさい
紬は謝ったごめんは、嘘だった恋を本当にしてしまった事への謝罪だった。
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