第22話

「いや、俺何も出来ないよ」


「そんなことないよ!名門校に入ってて、モデルもできるし、バイトもしててピアノも弾けるなんて凄いよ」


「くくっ…」


千秋は肩を震わせながら笑い出す。紬はその姿を見て頭の中で?が浮かぶ。


「柊くん?」


「ごめん、凄く力説してくるから可笑しくて」


「あっ、ごめん」


上げていた両腕を紬は慌てて下ろす。


「いや、別にいいのに」


「千秋くんがそんなに笑ってるの珍しいね」


マスターがカウンターから表に出てきて紬に一礼し紬も同じように返す。


「そうですか?」


「感情が中々見えないからね、君は」


「そうですかね?」


千秋は立ち上がってピアノから離れて、マスターの近くに行く。


「コーヒー豆の補充ですよね、俺が倉庫行ってきますよ」


「ん?ありがとう、気が利くね」


千秋が出ていき、マスターが紬の傍に行く。


「これからも千秋くんと仲良くしてくれるかな?あの子はとても優しい子だから」


「はい…っ」

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