第20話

「……」


紬は何も返せずにいた。

紬自身も今のまつりのテンションについていけない所があったからだ。


「あの、それでここは…」


「喫茶店だけど」


放課後、紬が千秋に呼び出しされたのは学校の最寄りから1駅行った所で個人経営をしている喫茶店だった。


「そして、なんで柊くんギャルソンエプロンしてるの?」


「俺のバイト先だから」


「え、モデルは?」


「そっちはたまにな」


「へー…」


「ここだとあんまり俺の事知らない人多いし」


千秋は紬にメニュー表を渡しながら話す。


「確かにこんなにいい雰囲気なのに、柊くんの事知ってる人来たら壊されちゃうね」


「だから、山本さんにだけ教える」


「へっ!?」


「何?」


紬は横に首を振る。


「何でもない」


「それで何にする?ここは、俺が出すから」


「えっ!?いいよ、私ちゃんと払うよ」


「俺が呼び出したんだから、いいって。


マスターが作るのはなんでも美味しいよ」


申し訳ないと思いつつ、紬はメニュー表を1ページずつ見る。

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