第15話

「それでなに?」


「あ…彼女いたならいいです、すみません」


女子は下を向いて、パタパタと走ってホームの端っこに行く。


「柊くん!?彼女って…」


「ごめん、面倒くさくなって山本さんの事使っちゃった…」


紬はあまりにも急なことで驚き、空いた口が塞がらない。


「しばらくはその嘘通してもいい?

その、山本さんが好きな人出来るまで」


「もし、もしもなんだけど…

私が本当に柊くんの事を好きになったらどうするの?」


千秋は紬の真っ直ぐな目を見てから少し黙る。


「それは、その時にならないとわからない」


「そうだよね」


あははっと笑って電車を待っていると、後ろから紬の名前を呼ぶ声が聞こえた。


「紬ー!」


「まつり!?莉多!」


わざわざ早く出たのに何で?と紬は思ったがまつりはお構えなしに紬に抱きつく。


「何で先にいくのー!?」


まつりは隣に立っている千秋を見て固まる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る