第8話

駅のホームのベンチで電車を待っていると1人の影が紬の前で止まる。


紬が顔を上げるとそこに立っていたのは、嘘の相手だった。


「今朝の…」


「あの、今朝はどうもありがとう


なんか、呼ばれた気がして…」


「ヒーローですか…」


「はっ?えっ!?ちょっ…」


紬の目からはポロポロと涙がこぼれ落ち、突然泣かれた千秋は動揺しながらも、ハンカチを渡して隣に座る。


「何かあった?」


「実は…」


紬は千秋に失恋のこと、嘘をついてしまったこと、今日起きたことを話し続けた。


「今日1日で随分な事があったみたいで」


「本当に…そうですね」


「…協力しようか?その嘘の恋愛」


「はい?」


「山本さんが好きになる人ができるまで、俺を好きなままでいたら?しばらくしたらその友達も飽きるだろうし、今は脳内花畑な状態だから他人の恋愛にも興味津々なんだろうし」

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