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「あの頃は貰える役なんて、セリフなんて無かったさ…」


けれど、必死だった。


親にも勿論兄貴にも黙って、辛うじて入れた高校すらまともに行かずに、毎日と言って良いほど、練習室へと通って…


高校だってただじゃないのに、それだって兄貴が出してくれていたとも知らず…


俺は高校を中退する羽目になった。


凛からは毎日の様に電話が掛かって来て、俺を心配する言葉ばかりで…


『高校行かないと…進級出来ないわよ』ってな…


『俺役者になりたいんだ』


始めて伝えたのは凛にだった。


それからは、凛も俺を応援してくれて…

練習の合間時間があれば凛に合いに行って…

始めてのキスシーンの話が来た時は、練習と言って凛と始めてキスをした。

その後も…

『本当に練習の為?』

何度も聞かれたが、決まって俺は

『あぁ…』

凛を抱いた。


彼女は、俺が頼んだ事は全て受けてくれたんだ。

そういう人だった…


俺の事を好きでいたわけでは無い。

ずっと兄貴の事が…


俺の名前がそこそこ出る様になって、キスシーンなんかも増えたが、その都度凛の元へ行き、練習だと言い…


俺は凛だけだと心に刻み込む様に…

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