121
あの日
「俺はこの家を出て行く」
その一言で防音の部屋ですら、外に声が漏れそうなくらい騒ぎ立てると思われたのだが、息を呑む音が聞こえたくらいで、誰も何も言う事はなく、12の瞳が俺を睨みつけていた。
その無言の訴えに俺は答えることは出来ず、部屋を出て来た。
あれが最後。
高校を卒業せすに俺はあの人の薦めで、イタリアへと…
飛び込みでその日行われるモデルのオーディションをいくつも受けた。
けれど、そう簡単には行かなくて…
携帯の翻訳機能をフルで使いながらも、中々仕事にまではありつけず…
一流ブランドのショーモデルはことごとく落ちて…
三年が過ぎた頃やっと一つの仕事を手に出来た。
日本人デザイナーの現地の小さなショーモデルだった。
その一つの仕事が俺の今を作ったんだ。
その時のカメラマンが俺を気に入ってくれて、今その人と一緒に日本へと…
しばらくぶりに日本へと帰って来た俺は、カメラマンの杉本さんの自宅へと向かっていた。
あの日から俺は家族との連絡を断っている。
彼らが今何をしているのか、それ自体俺は知ることもなかった。
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