※離れた距離、近づく心

78

「よぉ…」


部屋のドアを静かにノックし顔をのぞかせたのは、明日から暫くの間顔を見ることが出来ない相手だ。


「何よ…なんか用?」


いつもコイツを前にするとひねくれてしまうのはどうしてなんだろう。


開いたドア越しに寄りかかったまま、何かを言うわけでもなく視線を向けられたままで、行き先を失った瞳を反らしたまま、思いもしない言葉に緊張し、身動き出来なくなった。



「…帰って来たら返事きかせろよ」


アイツがどうやって部屋のドアを締めていったのかとか、そんなのどうでも良かったと言うよりも、そんな事気にもならないくらい、ドキドキしていたのは間違いない。

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