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「で、誰が言いに行くの?兄様は嫌でしょ行くの…」



兄様の部屋で三人で未だ部屋を出れずにいる。


下の中学生はまだしも、上のあの人達とは顔合わすよね学校で…

マジ、気まずい。

ほんと、いつかこう言う事があるんじゃないかと思ってたよ。

正直俺はどうでも良い。

あの人達とは関わる事は無いと思う。

けれど、一番顔を合わせる姉様は、強いと言うべきなのか…


「わかった、私いってくる。でも知らないよ梅さんも取られちゃうんだから」


姉様も少しは動揺しているのか、梅さん取られるって…

確かにあいつらに取られるのは嫌だ。

それだけは阻止せねばならない。


暫くして戻って来た姉様は、溜息と共に座った。

勿論部屋に入る時にノックなんてものはない。


未だこの部屋の主は大人しく、むしろ目に涙を浮かべていたのではないのかと、思われるほど、目は赤く鼻も赤くなっていた。ぎゅっと抱きしめられている三十センチ以上ある大きなピンクの恐竜のぬいぐるみが少し可哀想だ。


「話がかわった。あいつらが母屋に住むって!」


「はぁ?何それ!冗談でしょ嫌マジでそんなの無理だって」


確かに部屋は、ある。あるけど…

俺達の部屋は二階にある。ちなみに二階の部屋数は4部屋だ。

二部屋開いてるよ、俺の部屋の隣で兄様の部屋の向かいが…

それと、屋根裏扱いにしている三階部分の場所。


「俺は…仕方ないと思う」


ずっと黙りを決め込んでいた長男がぼそっと言い出して


「だって、あの子達だって住む所ないかもしれないんだし」


「あの子達だってって事は無いでしょ!アタシ達はちゃんとあるわよ!ただ納得いかないじゃない!」


姉様の言う事は正しい。だって、そうでしょ!なんで、俺達が我慢しなきゃなんないのさ!


「あの子怯えてたし…」


あの状況でそんな周りを見ている余裕なんてこの兄様にあったのだろうかと思うが、見たんだよな、兄様はあの子をだからそんな事を言い出したんだ。


「どこまでお人好し?もう、やってらんないわ!」


姉様はぴしゃりと言葉を投げて、ドアを勢いよく閉めて出て行った。


「お前も姫と同じなの?」


なんかもう、俺は正直どうでも良くなってきたよ。

自分のスペースを乱さないでもらえればそれで良い。


「別に…どうでも良いや…」


俺も兄様の部屋を出た。

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