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三人珍しく食事をしていた時に帰って来た親父は


「合わせたい人が居る、客間で待っている」


それだけ告げて、自分の部屋へ一度戻ったんだろう。


俺達は慌てて食事を済ませ“合わせたい人”と言う人が、三人の中で『また再婚か…』と思ったに違いない。

でも珍しいんだ。合わせるって…

再婚しても、この屋敷に来るわけでもなければ、結婚式をするわけでもないし、お披露目なんて事もしては居ないはずだから…


その都度どこかに新居を構えて、たまに親父がここへ帰って来ると言うくらいだったから…

今更だ。


しかし、今回は違った。

姉様を先頭に俺が、最後に兄様という順番で客間に入ると…


俺達と同じ制服を着た男二人と、学ランを着ている男の子と、同じであろう学ランを着たさらに小さな男の子が居た。


彼等は絨毯の上に座って居るが、この部屋は畳に絨毯を敷いてあり、応接間と言う様な風合いである。

ソファーもあるのに下に座らせて居る辺り何か訳ありなのは間違いない。


俺達は側に控えていた浪川が促したソファーへと腰を下ろした。


真っ直ぐ前を見据えている分には彼等を視界の隅に入れるくらいですむのだが、姉様は絨毯の上に座って居る彼等を思いっきり睨みつけている。

兄様に関しては俯いたままだ。


「なんであんた達がいんのよ!」


その言葉は同じ制服を着た男二人に向けられている。

しかし、二人は言葉を返す気はないらしく目を合わせない様にして居るみたいだ。


「すまない、待たせたな」


普通に着替えてきた親父が入って来た。

テーブルを挟んで俺達の前に座ると


「彼等は今日からうちの離れで暮らすことになったから、お前達もそっちで過ごす様に、それからみんな、俺の子だ」



「「はぁ?」」

声が合わさったのは姉様と俺。兄様はまだ下を向いたま。


彼等は何も言わず黙ったままだ。


「これは一体どう言う事?」


親父は姉様には弱い。


「いや~それがな…」


上二人の双子は、4月には同じ高校に編入してきていると言う。

姉様は二人と同じクラスだった様だ。

彼等の母親は親父と昔からの付き合いのある人だった様で『まぁそのなんだ、俺の子なんだよ』って…産まれて直ぐに分かった事だった為、直ぐに認知はしていた様だ。


上二人は学生寮に住まわすつもりだった様だが、直ぐに空きがなかった為ここに連れて来られた様だ。


下の二人も『いやだからな…俺の子なんだ』

下の子を産んで暫くしたら母親は別の男と居なくなったそうだ。それを自分の部下である男に押しつけながら育ててきたと言う、勿論部下の男は生きているが、結婚をするとの事で育児が出来なくなった様だ。


だと思った。

だって、似てるんだよ。

特に一番下の子と、一番上の兄様は!


ほんとそっくり!!

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