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その日の夕食は珍しく、学校で誰がどうのやら先生がどうのとか、3人共通する話が飛び交った。

基本食事中は私語は慎め!

な、我が家だがそれを守る様な年頃はとうに過ぎている。

しかも座布団に正座とか、無理だし。

律儀に正座してるのは兄様くらいだよ。

本来女である姉様が普通は正座をするのが、理想と言うべきであるが、いたって我が家は長男はなんせ乙女の様だから…

これは、いくら外見がそこそこでも、うーん。女性陣から告白されるより殿方からの方が多そうだ。


キッチンの隣合っている部屋で独りお茶をしていた梅さんの電話がまたしても鳴るのだが、俺達兄弟はその音を聞き逃していた。


梅さんが玄関へと静かに向かった事すらきがつかずに…


「お帰りなさいまし旦那様」


出迎えた梅さんが目を見開いたのは言うまでもなく…


秘書の浪川の後に続いて入って来た4人の男の子達に梅は、一歩下がって深々頭を下げている。


躊躇する事もなく家へ上がった二人と、片時も離れずくっついている二人。どうやら兄弟なのか双子なのか…

よりによって男ばかりである。


食事の席の三人とは別の部屋へと案内された男の子達は、畳の上に敷かれた絨毯にお行儀良く座り、今さっきまで一緒に居た父親が来るのを待っている。


その部屋には浪川も控えてはいたが、浪川を気にするでもなく上二人と思われる男の子は、かったるそうに部屋の一点を見据えている。


まだ中学生くらいではないかと思われる二人はここでもまた、くっついて離れることはない。特に一番幼さが残る子は兄とおぼしき人に抱きついたまま顔を埋めては見上げ、を繰り返すしまつだ。それには兄と思われる子が、弟であろう子の頭を撫でてやっていた。

そんな二人を時折横目で上二人は見ていた。


まるで人質にでも取られた様なさまを浪川は目のあたりにしていた。


梅が冷えた麦茶を4人分コップに入れ持って来たが、誰もそれには手を付けてはいない。


事の経緯を全て聞いているわけでは無かった梅にはこの子達がどういった子なのかは想像すらつかず、ただこの子達の父親がこの家の主であるかも知れない事は、何となく察しがついていた。

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