第90話

1人頭の中でパニックになっていると、ポンッと頭に手を乗せられる。


「安心しろ。何もしねーから」


私の気持ちを悟った言葉に安心感と罪悪感に押しつぶされそうになる。


「そもそも今日は仕事で来たわけだしな。

会社に連絡入れとく」


「…ありがとうございます」


私がホッとしている間に辰巳さんは、会社への連絡とタクシーを呼んでくれた。


「タクシーもすぐ来るって。会社は明日も土曜日だしそのまま半日出勤てことで休んでいいって」


「そうですか、良かった」


「予約の桜井様。お迎えに上がりました」


タクシーの運転手さんが店内に入ってきて、私たちは急いでタクシーに乗り込む。


「どちらまで?」


「ベイシティホテルにお願い致します」


「承知致しました」


タクシーは雨風が酷い中、私たちをホテルまで送ってくれた。

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