第91話

フロントに立ち寄り、チェックインをすると鍵を受け取りエレベーターに乗り込む。


「手馴れてますね」


「そうか?まぁ出張多いしな」


エレベーターの中で他愛もない話をしながら部屋の前に行く。


「先に言っとくけど。簡易布団用意して貰えることになったから」


カードキーを差しながら辰巳さんが私の方を見て安心させる。


「そうですか…あ!別に決して辰巳さんと寝るのが嫌とかじゃないんですよ!」


「アホ。そんな事知ってる」


部屋に入るとあまりにも広くて綺麗で驚く。

こんな綺麗な部屋、私には縁が無さすぎる。


「い…いくらですか!?」


「はぁ?何言ってんだ」


「だって…」


私の額にコツンと手を当てて、「いらねーよ」と一言。


「そんなに気を使われるのも困るし。

茉佑は仕事の後輩だけど彼女でもあるんだから、気にするな」


「…いやでも」


「執拗い!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る