6.嵐の夜

第87話

今日は、辰巳さんと営業を兼ねて地方に日帰り出張中。


「それでは、ぜひご検討の程宜しくお願い致します」


取引先に挨拶回りをし、近くのカフェで一休みをする。


「お疲れ、どうだった?取引先の挨拶回りは」


「めちゃくちゃ緊張しました。

普段は事務仕事ばかりでこんなに取引先の方と面と向かってお話することはないので」


「悪かったな急遽来てもらって。

風間が同席出来なくなったから茉佑に無理言って」


私は首を横に大きく振り否定する。


「いえ、そんな事ないです!」


「ありがとな。

お礼も兼ねてお昼ご馳走するから、何がいい?」


「良いんですか?」


「おう。なんでもどーぞ」


私はメニューを端から端まで見る。


「辰巳さんは決めましたか?」


「ん。まぁな」


「ちょっと待ってくださいね!すぐ決めるので」


辰巳さんに頭をポンっと叩く。


「ゆっくりでいいから」


「はい…」

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