第85話

~茉佑side~


実家を出て、辰巳さんと家に帰る為に近くのパーキングに停めた車を取りに行く間明らかに来た時と辰巳さんの雰囲気が変わっている。


「辰巳さん、何かありました?」


「ん?別に何も」


「真緒がまた何か…言いました?」


「いや別に。なんで?」


「だって明らかに来た時と雰囲気が変わってるから…柔らかくなったというか」


車に乗り込んで辰巳さんは何を今更という顔で私を見る。


「彼女の御家族に会うんだ。そんなん力入るだろ」


「営業で取引先に行くのとどっちが力入りましたか?」


「アホ。仕事と一緒にするな


車出すぞ」


辰巳さんに軽く頭を叩かれた。


「はい…」


「でも本当に、茉佑のお袋さんと真緒くん。

とてもいい家族だな」


辰巳さんは目を細めて優しく微笑む。

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