第84話

「茉佑姉」


「な、なに?真緒」


「男の趣味悪いな」


ニヤッと俺の方を見て笑う真緒くんに俺は吹き出す。


「えっ!?なにそれ!!真緒っ」


茉佑は真緒くんに怒るが、きっと真緒くんの精一杯な褒め言葉なんだろう。


「本当に不器用な所がそっくりだな。姉弟して」


「いや、俺は不器用じゃないんで」


「私も違います!」


茉佑は、プンッと顔を逸らして怒ってリビングに戻る。


「桜井さん」


「ん?」


「あなたの事はそんなに好きになれないけど」


「お、おぉ。素直だな」


「だけど、茉佑姉と結婚したらちゃんと祝福するので幸せにしてくれないと俺、許さないので」


上から俺を見下ろしながら言ってくる真緒くんは本気なんだと誰が見ても分かる。


「おう。わかってるよ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る