第78話

「お母さん…」


頭を下げ、肩を震わせてポロポロと涙を流す母親の姿。

こっちが泣きたくなる。


「茉佑さんは、本当に優しい方ですね」


辰巳さんの言葉にお母さんは顔を上げる。


「聞き上手だし、仕事も家事も丁寧だし。だけどお人好しすぎてたまに心配になります」


「あはは…」


返す言葉もなく私は笑って誤魔化す。

それを聞いたお母さんもクスクスと笑う。


「こんなに大切だと思わせてくれる茉佑さんを育ててくれて感謝しかありません」


「辰巳さん…」


嬉しくて思わず辰巳さんの右肩に抱きつく。


「茉佑!?」


驚く辰巳さんと大胆な行動をした自分に驚いて椅子から慌てて降りる。


お母さんは目をぱちぱちさせて私と辰巳さんを交互に見る。


「こんなに甘えた茉佑の姿、初めて見た…」

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