第73話

「え?なに…」


エントランスホールには、息を切らしている辰巳さんが立っていた。


「辰巳さん?」


思わず辰巳さんに駆け寄ると、勢いよく抱きしめられる。


「きゃっ!?辰巳さん?」


心臓の音が早い。ここまで心配して走ってきてくれたんだろう。


私はそのまま辰巳さんの腰に手を回す。


「ごめん、茉佑。

俺も茉佑の事が好きだ」


【好き】と辰巳さんから口にされた瞬間、嬉しさで思わず涙が溢れる。


「え?もしかしてまた俺は泣かせた!?」


すすり泣く私の声が聞こえた辰巳さんは、慌てて私から離れる。


「確かに辰巳さんのせいではありますけど、

これは嬉し泣きです!」


「そっか、良かった…」


辰巳さんは微笑むとそのまま私の涙を指で拭う。


「それで…幼なじみくんに何かされた?」


「え?あ、そのメッセージなら…」


「俺があなたに素直になってもらう為に送ったジョークですよ」


パンツのポケットに手を入れながら私たち2人の元へ歩いてくる新。

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