第72話

「うわっ」


辰巳さんからの着信履歴も20件、メッセージにも電話出てって書いてある。


「何これ」


「ちょっと桜井さんにメッセージを送ったらこれか」


頭をポリポリ掻きながら私の携帯を後ろから覗き込む新。


「なんて送ったの?」


「んー?茉佑に手を出すって」


「はっ!?」


「しねーよそんな事。嫌がる女抱けるほど人間出来てねーって」


アホか。と付け加えられ面倒くさそうな顔でデコピンをしてくる。


「痛いんですけど」


新は私の目線を合わせるかのようにしゃがみ込む。


「本当に不器用な所とか鈍いところ2人して似てる。あと、お節介焼きなところ」


「はい?お節介焼きは新もでしょ!」


「茉佑立って」


「え?うん」


「ちょっと」


手招きされ、新の後ろをついて歩く。


部屋から出てエレベーターに乗って、エントランスに行く途中で新に背中を押される。

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