第71話

「何してんだよ、茉佑…」


固まった私を他所に新は床に落ちたタオルを拾って私を見る。


「ごめん、落としちゃって」


我に返った私は新からタオルを受け取る。


「茉佑?」


私の左頬に新の手が当たり、ピクリと肩が上がる。


「どうした?」


「いやー…新も男の子なんだなーって思って」


「意識する?」


「そんなんしないよ!」


「じゃあ…桜井さんには?」


「なんでそこで辰巳さんの名前が出てくるの?」


新から辰巳さんの名前が出てくるとは思わなかったから思わず変な声が出る。


「いや、茉佑も桜井さんもわかりやすい」


「…でも私振られたんだよ?」


「振られてないでしょ。茉佑、携帯電源つけてみ」


「え?うん…」


カバンの中に電源を切って入れたままの携帯を取り出して電源を入れる。

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