第62話
「どうした?茉佑」
辰巳さんは私の行動に目を丸くして驚く。
「あ、の…辰巳さん。
辰巳さんはどこにも行かないですよね?」
「え?行かねーよ。俺はどこにも」
優しい声、優しい空気。
やっぱり居心地がいい…
「ただ、俺と一緒に暮らすよりも幼なじみくんと一緒に暮らした方がいいんじゃないか?」
辰巳さんの一言で優しい空気がとても重い空気に変わる。
「え?なんで、ですか?」
「いやだって、その方が茉佑も気を使いすぎないし素でいられるし楽だろ?
やっぱり上司と暮らすのはどっかしら気づかって疲れただろ?」
サラりと言われるその言葉に思わず、洋服の裾を離す。
「…今日は本当にすみませんでした。
お風呂掃除してきますね」
くるりと背中を向けて洗面所に歩いていく私は洗面所について扉を閉め、その場に崩れ落ちる。
「近づけたと思ったのに…距離が離れた気がする…」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます