第50話

「会うのは、久しぶりだね」


「あぁ…」


「お父様に会いに来たの?」


「関係ないだろ」


アリサさんの問いかけにイライラしながら答える辰巳さんは車に乗り込もうと車の元へ。


「茉佑、帰るぞ」


「は、はい」


「…私諦めないから!辰巳のこと、諦めたくないから!」


アリサさんの言葉に、何も答えず車に乗り込む。


「良いんですか?アリサさんと話さなくて」


「ほっとけ」


アリサさんの所に行かなくて安心した気持ちと、このままじゃダメなんじゃないかなと思う気持ちが行き来する…。


辰巳さんが車のエンジンをかけた瞬間、私は声を出す。


「やっぱり行ってください!」


「はっ!?」


「私はここで待ってます!だから、アリサさんの所へ行って話をしてきてください」


「お前、意外と頑固だな」


ため息をつくと、エンジンを切ってシートベルトを外す。


「アリサとは婚約しない事をちゃんと本人に伝えてくる。車の中に絶対いろよ」


「はい!」

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