第47話

暫くし離れて帰ろうとするが、


「すみません、帰る前に御手洗行きたいんですけど…どちらに?」


「あぁ、えっと近いのだと」


辰巳さんに一番近い御手洗を聞いてやってきた。

トイレも多分、以前一人暮らしをしていた私の部屋より大きいと思った。


御手洗から出たところで、奥の部屋から歩いてくるお父様と目が会い、会釈する。


「久保茉佑さんと言ったかな?少しいいかな?」


「え?はい…」


外のテラスに出るとベランダにベンチ!

金持ちの家で見るやつ…


「君、本当は辰巳の恋人ではないね」


いきなり図星をつかれて肩が上がる。


「え?いえいえ辰巳さんとお付き合いさせていただいてます」


私の必死さはお父様には届かなかった。

なんて嘘が下手なのだろう…。


「恐らく辰巳が彼女のフリを頼んできた。

違いますか?」


もう嘘をつけ続けるのは無理なんじゃないかと若干諦めかける。

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