第45話

辰巳さんもお父様も私の方を見る。

硬直してしまった私だけど、口を開く。


「私がダメというか…辰巳さんがそばに居てくれないとダメになってしまうといいますか…

上手く言えないんですけど、辰巳さんの事が大切で…」


「もういい」


私の口を辰巳さんは自身の手で止める。


「父さん、俺はアリサとは結婚しない」


「…はぁ。お前はどこまで私を失望させるつもりだ?そんな何処の馬の骨もわからない娘を」


私は返す言葉もない。

私は辰巳さんとは違って貧乏で片親で…

だけど、とてもたくさんの愛情を注いでもらって生きてきた。


「俺は、茉佑とずっと一緒にいたいと思ってます」


ウソだってわかってる。

だけど、どうしてもこの言葉は嘘じゃないって思いたい…!


「はぁー…」


お父様の深いため息が余計空気を悪くさせる。


「じゃあ父さんはどうして、普通の家柄の母さんと結婚したんですか?」

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