第43話

「…そうですか」


こういう時、うまい言葉をかけられない私はなんてちっぽけなんだろう。


逆の立場なら辰巳さんは私を和ませる言葉を探してきっと言ってくれるのに…。


「とりあえず、巻き込んで悪かったな」


「いえ!そんなこと…」


車を走らせて30分。

大きな御屋敷の前に車が停車し、私を1度下ろすと駐車場に車を停めて私と合流する。


「茉佑、大丈夫か?」


「なんとか…こういう御屋敷的なのはテレビだけの世界かと思っていたので実際目にするとなんとも迫力が…」


辰巳さんは、門の近くにあるタッチパネルにカードを翳して門を開ける。


「そうやって開けるんですね今の時代は」


感心しながら辰巳さんの跡をついて歩く。

噴水、庭、花畑…

何もかもが凄いとしか言いようがない。


家の中に入ると、螺旋階段、大きな犬、シャンデリア…もう呆然としてしまう。

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