第40話
私も腰を下ろして壁を背中につける。
「彼女のフリは、誰でも良かったわけじゃない。
茉佑だから頼んだ。それだけは信じて欲しい」
「どうして私なんですか…」
「…いつも仕事は丁寧で、俺がやらなきゃいけないとか考えてる資料も頼む前に用意されていて、定時で終わりそうにない奴の仕事を手伝ったり、お人好しすぎて…気づいたら目で追っていた」
あまりにも驚いて右手で口を塞ぐ。
「それが何かはわからないけど、茉佑を特別視しているのは事実だ…。
気になって仕方がない」
「桜井さん…」
「だけど、だからこそ茉佑がもうこの関係が嫌なら無理にとは言えない」
「嫌とかじゃないです!そんなこと…
もう少しこのままの関係でいたいです」
「そうか、ありがとう。俺のわがままを聞いてくれて…
明日も早いし寝るか」
「そうですね」
私は立ち上がって、桜井さんがいる壁の方を見る。
「おやすみ、茉佑」
「おやすみなさい」
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