第21話

「隣の女の人彼女かな?」


「え、妹でしょ?釣り合ってないし」


妹じゃないし!

心の中で思いっきり叫ぶけど、改めて彼女でもないし…。と冷静になっていく。


私と桜井さんはただの上司と部下で、今偽恋人だけど…。


「…い、おい!」


私の顔の前に桜井さんのアップで思わず驚いて一歩後ろに引く。


「どうした?」


「いえ、本当になんでもないです」


桜井さんは、1度ため息をつくと前を見たまま


「久保は今俺の恋人だろ?」


「でも偽ですよ」


「そうだけど、他人には俺らは恋人に見えてんじゃないの?」


「妹って言っていました…」


暫くの沈黙。

すると、桜井さんに手を握られる。


「なっ!?」


「俺、カゴ持ってるし両手塞がったから茉佑が入れて」


「えっ!?え?」


動揺する私と、後ろの女の人の声も納得した声。


「やっぱり彼女じゃん」


「なーんだ。まぁ、そりゃそうか」

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