第17話

そのまま桜井さんの顔を見る。

改めて綺麗な顔だなーとか、意外とまつげ長っとか思ってまじまじと見る。


「何?そんなに見て」


「いえ」


桜井さんは体勢を戻し、私から離れる。


「すみません、いろいろと…」


「…ぷっ。くくっ」


桜井さんは肩を振るえて笑い出す。


「久保、いろいろやらかしてくれて笑えるわ」


「好きでやらかしている訳ではないんですけど…」


「そういうとこがまた良いんじゃねーの?」


「えっと、良いというのはどういう意味で?」


良いとは褒め言葉だと思い、桜井さんに詰め寄る私の顔に手を当て距離を取られる。


「自分で考えろ」


「はい…」


桜井さんの手をどかして、さっき使っていいと言われた食器棚に手をかけると、桜井さんらしくないキャラクター物のコーヒーカップが目に入る。


「わ、可愛い。これって桜井さんの趣味ですか?それとも彼女さん?」


飛びつく私の横からコーヒーカップを取り上げる。


「俺の趣味ではありません。

今彼女いない、つーか今は久保が俺の彼女だろ?」


「あ、そうでした…」


偽のですけどね。

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