第5話

「桜井さん…」


「お、タクシー来たぞ」


タクシーの車内で茉祐は、食べ過ぎと飲みすぎでうつらうつらとなっていく。


カクンッと上司である桜井の肩に寄りかかる。


「コイツ…上司を何だと…」


そう言いかけた桜井だったが、優しい顔で茉祐をみて頭をポンポンと撫でる。


暫くすると茉祐が暮らすアパートの前にタクシーが止まる。


「おい、久保!起きろ」


起こしても全く起きない茉祐。

桜井は仕方なくタクシー代を払い、降りて茉祐を部屋まで連れていく。


「久保、家の鍵は?」


「…すーすー」


「ったく!」


茉祐のカバンを開けて鍵を探すと、内ポケットに入っていた。

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