第4話
「それじゃあ、俺はそろそろ失礼するよ。明日までにやらないといけない仕事もあるからな」
桜井は腕時計を見て立ち上がると同時に茉祐の事も立たせる。
「久保も顔色が良くない。タクシー拾ってやるから帰りなさい」
「え?はい…」
桜井は、財布から5万円を取り出して「2人分」と言って幹事に渡す。
「えっ!?桜井さん、多すぎで…」
「早抜けするから、気にするな」
桜井はコートを羽織ると茉祐の背中を軽く叩いてお店を後にする。
「すみません、桜井さん」
「何がだ?
タクシー全然通らないな」
「私のために、さっき…」
「勘違いするな。俺はただ丁寧な仕事をしている奴が男目当てで飲み会に来るなんて思ってないだけだ」
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