第6話


 翌日、大学へ行くと私は浮気者になっていた。私が浮気をして、それに気がついた先輩をこっぴどく振ったらしい。私を好きになるのなんて先輩くらい、いや、誰もいないのに。噂が耳に入る度にそんなことを思って吐きそうになる。


 大学一年目はそんな噂が消えきらない中で勉強に明け暮れた。元々友人なんていなかったから一人には慣れていたはずだった。それなのに、たった三ヶ月の間一人でいなかったせいで、孤独が苦しかった。


 先輩も参加しているサークルは辞めたかったけれど、何故か三年生の代表に出した届けが受理されなくて結局続けることになった。


 サークル中は一人黙々と本を読むだけで、話しかけてくれたのは代表くらいだった。そのせいで私の浮気相手は代表ではないかとまた噂が立って、代表に好意を寄せていた女子たちの非難の的にもなってしまった。


 またあんな日々が始まるのかと思うと大学すら辞めたかったけれど、高い学費を払ってくれている両親の手前、そんな我儘は言えなかった。


 気が重いまま春休みは明けててしまった。


 一人暮らしのアパートに戻ってきて、始まってしまった二年目の大学生活。代表が四年生になっていなくなってしまった空間で、窓際の一番後ろの席に座ってただ黙々と本を読む。


 もう行かなくても良かったのかもしれないけれど、知恵の働く代表が私をあの場所に居させた理由が知りたかった。


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