第7話
孤独な時間に終止符が打たれたのは、突然のことだった。四月が始まって間もなくして、サークルどころか、大学に先輩が来なくなった。
その代わりに先輩とその友人たちの悪い噂が流れて、全員退学させられたという事実が知れ渡った。先輩たちは賭け以外にも後輩にお酒を無理矢理飲ませたり、万引きをしたりしていた事実が学内から告発されたらしい。
ちょうどその頃、私の隣に現れたのが奏太くんだった。
先輩たちの悪事が明らかになってもなお、消えずに燻っていた私の噂は、サークルに参加してくれた一年生にも伝わってしまった。それでも奏太くんは噂になんて目もくれず、私を慕ってくれた。
毎日のように連絡をしてきてくれては他愛もない話をして、お弁当の味見をして欲しいと頼まれてお昼を一緒に食べたこともあった。
自然とその場所に収まって、私を孤独から救い出してくれた奏太くんから、出会って一年が経った頃に告白をしてもらった。また先輩の時のようなことになるのではないかと思わないことはなかったけど、信じたかった。
先輩も優しかったけど、それよりもっと大きな優しさで私を温めてくれた奏太くんだったから。私は奏太くんの手を取った。
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