第84話
「んー…空気が気持ちいですね」
「あぁ。
あのさ、凪咲」
いつもよりも低い圭さんの声に、何言われるのかとビクッと肩が上がる。
「なんで、そんな守り体勢?」
「なんとなく…」
「いや別にいいんだけど…」
一瞬シーンと空気が静まるが、その空気を圭さんが破る。
「俺、サプライズとかそういうの苦手だからどこでどう言おうかとか、タイミングとか迷ったんだけど…
俺と結婚してくれませんか?」
少しの間があき、パカッと小さな白い箱を目の前で開くとそこには綺麗なピンクゴールドの指輪。
まさかプロポーズされるとは思っていなかった私は一瞬フリーズする。
「あのー…凪咲さん?」
「あ、はい!」
「えっと、返事は?」
「そんなのもちろんですよ!
ずっと圭さんといます!!」
私は号泣する。
もう涙も鼻水もいっぱい出ながら箱を受け取る。
圭さんはそんな私を見ながら笑い、箱から指輪を取り出して私の左手の薬指につけてくれた。
「凪咲泣きすぎ」
「だって、まさか今日言われるかと思わなかったから」
圭さんはミニタオルで私の涙も鼻水も拭う。
「だってサプライズとか苦手だし。
思った時に言わなきゃ俺一生言えなさそうだから」
「嬉しいですっ」
「うぉ!?」
思わずギュッと圭さんに抱きつく。
圭さんの手が背中に周り抱きしめられると同時に偶然見ていた近くのカップルや親子に拍手され、「よかったねー」などの声が飛び交う。
ここが外だということを忘れてしまう程嬉しかったんだ。
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