第83話

「その節は本当に…」


お母さんが頭を深く下げるもので、思わず手を横に振る。


「いえ!そんな…」


「お姉ちゃん、僕ね将来あの時のお兄ちゃんみたいな強くてかっこいい警察官になりたいんだ!」


純君の目は真っ直ぐで本当になろうとしているんだって事が痛いほどわかった。


私は純君と同じぐらいの目線になるよう腰を下ろす。


「なれるといいね。警察官」


「うん!僕も誰かを守れるようになりたい」


私は思わず純君を抱きしめる。


光輝、あなたがお父さんに憧れて警察官になったように。

この子もあなたに憧れて警察官になるって…。

なれるよね?きっと



純くんとお母さんとバイバイするとやり取りを見届けていた圭さんが口を開く。


「やっぱり凄いな、光輝さん。

あの子真剣な顔だったな」


「圭さんも凄いですよ!だって、私にたくさんの幸せをくれるんですもん」


「お前褒めるの得意な」


「そうですか?さ、アイス買って海に行きましょ」


後片付けをして、その場から去って近くのコンビニで各々アイスを買う。


「海って言ったけど…夏休みだよな?」


「混んでるかなー。でも泳がないなら端っこで海が見れればいいかな」


海に着くと賑わっていて、子供連れが多いのがわかる。


「圭さん、あそこ空いてますよー」


私はハンカチを下に弾いてその上に座る。

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