第85話

「ん…」


プロポーズされた日から数日後。私は百瀬凪咲になり今日は初めての朝。


横を見ると圭さんの無防備な寝顔が愛おしくて、しばらく見ていられそう…。


起こさないようにじっと見ていた。


「何?凪咲」


「起きてたの?」


「さっきな」


圭さんは寝巻きの上から私の腰に触る。


「体大丈夫か?昨日無理させたかと思って」


「えっ?ううん!大丈夫」


昨日の夜を思い出して顔を真っ赤にして起き上がる。


「ちょっ、お前そんな勢いよく起き上がって…」


「痛い…」


「だよな」


再び布団の中に潜ると圭さんに頭を撫でられる。


「あのね、圭さん…」


「ん?」


「私を暖かい場所に連れ出してくれてありがとう」


あの時、圭さんが強引に外に連れ出してくれなかったら私は一生あのままだったと思う。


「いや。俺の方こそ出会ってくれてありがとな」


私の左頬に圭さんの右手があたる。


「うん…」


幸せな毎日をくれてありがとう…。


「俺、子供は2人欲しいかな…」


「え?今その話するの!?」


「何となく…」


「ムードの欠けらも無い」


「うるせぇ。耳元で騒ぐなよ」


「だって…!」


また口喧嘩が朝から始まってしまった。


だけど、良いんだこれで。

いつまでも変わらずこのままの2人でいようね。


「何ニヤニヤしてんだよ」


「内緒」






おわり

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