第81話

「一緒に買いましょう!」


グイッと圭さんの腕を引っ張る。


「せっかくなので他にも色々見ましょう!」


「お、おぅ」


店内を一通り見て目星をつける。


「圭さん何か欲しいのあった?」


「正直何でもいいかな。可愛いとかそういうのはよくわからねーし」


「じゃあ私が決めていい?」


「別にいいけど」


私は圭さんから一瞬離れて、マグカップを2個持ってくる。


「これがいいなって」


「それ、遊園地柄の」


「そう!だって圭さんと初めて出かけた場所はここだったし思い出の場所だから。

どうかな?」


「そうだな…いいな」


「だよね!じゃあこれ買ってくる…」


レジに行こうとしたら圭さんによって阻止される。


「俺が買う」


「え?いいよ!今日だって朝ごはん作ってもらったし、お昼のお弁当だって…だから私が買う!」


「凪咲って、ホントに真面目だな」


「人としての常識です!」


「…じゃあ頼む」


「了解です!」


私はマグカップを手にしてレジに行く。

購入し終わると外に圭さんが立って待っていた。


私に気づくと、携帯を見ていた顔を上げて少し微笑む。


「凪咲、サンキューな」


「うん!」


自然に圭さんは私からコップの入った紙袋を取って自分が持つ。


「スマートだ」


「ん?何が?」


「何でもないよー」

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